忙しい日の味方 レンジで簡単セロトニンごはん
忙しい毎日でも食事で心の状態を整える
仕事に追われ、残業が続いたり、家事に時間を取られたりする日々。疲れて帰宅すると、食事はつい手軽な外食やコンビニ弁当、あるいは簡単なもので済ませてしまう方も多いのではないでしょうか。十分な休息が取れず、食生活が不規則になりがちだと、体だけでなく心にも疲れが溜まりやすくなります。
気分が落ち込んだり、イライラしたり、漠然とした不安を感じやすくなる。これらは、忙しさからくる心身の疲労だけでなく、もしかすると毎日の食事とも関連があるのかもしれません。
手軽に食事を改善したいけれど、複雑な調理は避けたい。そんな時に頼りになるのが「レンジ調理」です。火を使わず、短時間で一品が完成するレンジ調理は、忙しい現代人の心強い味方です。さらに、賢く食材を選べば、心の状態を整える「セロトニン」の生成をサポートする食事を手軽に実現できます。
食事と心の関係 セロトニンとは
私たちの心の状態には、脳内で働く「神経伝達物質」が深く関わっています。中でも「セロトニン」は、「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定や安心感、幸福感に関わる重要な物質です。セロトニンが不足すると、気分が落ち込んだり、不安を感じやすくなったり、イライラしやすくなったりすることが知られています。
このセロトニンは、体内で合成されますが、その材料となるのが食事から摂る栄養素です。特に重要なのが、必須アミノ酸の一種である「トリプトファン」です。トリプトファンは体内で合成できないため、必ず食事から摂取する必要があります。
さらに、トリプトファンからセロトニンを合成するためには、ビタミンB6やマグネシウム、炭水化物なども必要になります。これらの栄養素をバランス良く摂ることが、セロトニン生成を促し、心の安定に繋がるのです。
「でも、そんな栄養バランスを考えて、毎日しっかり料理するのは大変そう」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そこで注目したいのが、手軽なレンジ調理でこれらの栄養素を効率的に摂る方法です。
レンジ調理で叶えるセロトニンUPごはん
レンジ調理は、短時間でできるだけでなく、油の使用量を抑えられたり、栄養素が損なわれにくかったりするメリットもあります。セロトニン生成に必要な栄養素を含む食材は、レンジ調理と相性の良いものがたくさんあります。
レンジ調理におすすめのセロトニンUP食材
- トリプトファンを多く含むもの: 鶏むね肉、鮭、まぐろ(水煮缶も可)、豆腐、卵、乳製品(チーズ、ヨーグルト)、ナッツ類
- ビタミンB6を多く含むもの: 鶏むね肉、鮭、まぐろ、バナナ、パプリカ
- マグネシウムを多く含むもの: 大豆製品(豆腐、納豆)、ほうれん草、きのこ類、海藻類
- セロトニン合成を助ける炭水化物: ごはん、パン、麺類(これらと一緒に上記の食材を摂るのが効果的)
これらの食材を組み合わせれば、レンジだけでも美味しく、心の健康をサポートする一品が簡単に作れます。
簡単!レンジでセロトニンUPレシピ
ここでは、忙しい日でもすぐに試せる、レンジだけで作れる簡単レシピを3つご紹介します。特別な調理器具は不要です。
レシピ1:鶏むね肉とブロッコリーのレンジ蒸し
トリプトファン豊富な鶏むね肉と、ビタミンB6を含むブロッコリーを使ったヘルシーな一品。
- 材料(1人分):
- 鶏むね肉(皮なし) 80g
- ブロッコリー 1/4個
- 塩、こしょう 少々
- おろししょうが(チューブ可) 少量
- 酒 または 水 大さじ1
- ポン酢 または ごまドレッシング お好みで
- 作り方:
- 鶏むね肉は一口大に切る。ブロッコリーは小房に分け、大きいものは縦半分に切る。
- 耐熱皿に鶏むね肉とブロッコリーを並べ入れ、塩、こしょう、おろししょうがを振り、酒(または水)を回しかける。
- ふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)で3〜4分加熱する。鶏肉に火が通り、ブロッコリーが柔らかくなったら取り出す。
- お好みでポン酢やドレッシングをかけていただく。
- おおよその調理時間: 5分
レシピ2:鮭ときのこのレンジバター醤油
トリプトファンやDHA/EPAを含む鮭と、マグネシウムを含むきのこの組み合わせ。バター醤油の風味で満足感もアップ。
- 材料(1人分):
- 生鮭(切り身) 1切れ(約80g)
- お好みのきのこ(しめじ、エリンギなど) 50g程度
- 塩、こしょう 少々
- バター 5g
- 醤油 小さじ1
- 作り方:
- 鮭はキッチンペーパーで水気を拭き取り、塩、こしょうを振る。きのこは石づきを取り、食べやすい大きさにほぐすか切る。
- 耐熱皿に鮭ときのこを並べ入れ、バターを乗せる。
- ふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)で3〜4分加熱する。鮭に火が通ったら取り出し、醤油を回しかける。
- おおよその調理時間: 5分
レシピ3:豆腐と卵のふわとろレンジ丼
トリプトファンやタンパク質が豊富で、消化にも良い組み合わせ。ご飯に乗せれば一食完結。
- 材料(1人分):
- 木綿豆腐 または 絹ごし豆腐 100g
- 卵 1個
- めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ1
- 水 大さじ3
- ご飯 適量
- お好みでネギ、刻み海苔 少々
- 作り方:
- 耐熱容器に豆腐を手で崩しながら入れる。
- めんつゆと水を加えて混ぜる。
- 卵を割り入れ、軽く溶きほぐす。
- ふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)で2分〜2分30秒加熱する。卵が半熟状になったら取り出し、全体を軽く混ぜる。
- 丼にご飯をよそい、上から加熱した豆腐と卵をかける。お好みでネギや刻み海苔を乗せる。
- おおよその調理時間: 4分
これらのレシピはあくまで一例です。忙しい中でも、レンジ調理を上手に活用すれば、セロトニン生成に必要な栄養素を含む食材を手軽に食事に取り入れることができます。冷凍のカット野菜やきのこミックスなどを活用すれば、さらに手間なく準備できます。
毎日の食卓に小さなセロトニンUP習慣を
仕事や人間関係でストレスが多い現代社会では、心身の疲労を感じやすいのは自然なことです。しかし、それを放置せず、食事のような身近なところから少しずつケアしていくことは十分に可能です。
今回ご紹介したようなレンジで簡単に作れる一品を、いつもの食事にプラスしたり、忙しい日のメインにしたりすることで、セロトニン生成に必要な栄養素を無理なく摂取できます。
食事を通じて心と体の両方を労わる時間は、きっとあなたの毎日をより穏やかで前向きなものにしてくれるでしょう。難しく考えず、「今日はレンジでセロトニンごはんを試してみようかな」くらいの気持ちで、ぜひ気軽に取り入れてみてください。小さな積み重ねが、やがて大きな心の幸福感に繋がるはずです。